2016.11.24 公開
知ってる?普通の家と高気密高断熱住宅の住み方5つの違い
高気密高断熱住宅は、壁や屋根から逃げる熱や、換気で逃げる熱を減らした住宅です。性能を生かせば、省エネで、夏は涼しく冬は暖かく快適で、ヒートショックやアトピーが改善するなど健康な暮らしをすることができます。
しかし、正しく使わなければ、住宅性能を生かすことができないほか、健康的ではない状況になってしまう場合もあります。一般住宅と比べると、住まい方は少し違うのです。
そこで、高気密高断熱住宅の正しい5つの住まい方について解説します。
ヒーターやストーブは使わない
従来の住宅では、冬の暖房器具はヒーターやストーブなどを使うのが一般的です。しかし、これらの暖房器具は多くの換気を必要とします。多くの換気を必要とするヒーターやストーブを使用すると、省エネ効果が低下してしまいます。また、換気をしなければ燃焼した排ガスによって中毒症状を起こす恐れがあります。
暖房には、エアコンやエコウィンハイブリッド、ヒートポンプ、電気ストーブなど、燃焼した排ガスを外に出し、室内の空気を汚さない暖房器具を使用してください。
換気装置は止めない
従来の住宅では、換気装置は換気が必要なときだけ使うのが一般的です。
高気密高断熱住宅は、換気設備によって換気が計画的に行われるようにし、室内を常に快適にするように設計されています。そのため、換気装置を止めると、汚れた空気を排出できない他、結露が発生して住宅の性能が落ちてしまう原因にもなります。
換気装置は常時運転してください。もし、停電や故障で換気装置が動かない場合は、窓を開けて自然換気を行ってください。
ガスレンジ使用時は強制換気を行う
従来の住宅でガスレンジを使う場合、換気は料理によって起こる水蒸気やにおいを排出するものです。そのため、換気が必要なければ換気扇を回さなくても別段問題ありません。
ガスレンジは燃焼時に酸素を多く使うため、高気密高断熱住宅で使うと酸欠や一酸化炭素中毒になる恐れがあります。
ガスコンロを使用する際は、強制換気を行ってください。また、卓上コンロを使用する場合も同様です。電気式コンロなら安全です。
人が多く集まったときは換気を行う
従来の住宅でも、人が多く集まって空気の流れが悪いとき、窓を開けて空気の入れ替えを行いますが、高気密高断熱住宅では一般住宅に比べて空気の出入りが少ないため、換気量が不足する場合があります。
「空気が汚れているな」と感じたら、窓を開けるなどして換気を行ってください。
換気設備はこまめに清掃する
従来の住宅では、換気設備の清掃は年末の大掃除のときに行うのが一般的です。換気扇をそれほど使っていなければ、もう少し長い周期のお宅もあるかもしれません。
高気密高断熱住宅では、換気設備は室内の空気の循環を司っています。給気口やフィルターなどが詰まると、必要な換気ができなくなくなり、空気がよどんでしまいます。
換気設備は定期的(一か月に1回など)に清掃しましょう。詳しくは、換気設備の説明書を確認しましょう。
その他に気にかけておきたいこと
高気密高断熱住宅は、気密性と断熱性が発揮できるように、壁や屋根から逃げる熱や、換気で逃げる熱を減らせるように設計、施工された住宅です。そのため、増改築やエアコンの取り付けなど、壁に穴をあけるような工事を不用意に行うと、気密層や断熱層を壊してしまうため、設計値通りの性能が出なくなってしまう恐れがあります。
また、高気密高断熱住宅は年中家の中が快適です。床下に野菜などを収納すると、今までより早く野菜が傷んでしまう恐れがありますので注意が必要です。雪国なら、高床式にして野菜を1Fに貯蔵するのもいい方法です。
まとめ
高気密高断熱住宅の正しい住まい方について解説しました。
高気密高断熱住宅の特徴を一言でまとめるなら、「気密性、断熱性に優れているため、空気の出入りが少ない」と言えます。それを踏まえて、ここに挙げた注意点を改めてご覧いただくと、すべてが空気や換気に関することだとお分かりいただけるでしょう。
ここに挙げた項目を意識していただくと、住宅の性能を最大限に生かしながら、毎日を快適に、健康に暮らすことができます。
雪国妙高高原で70年余、家づくりに携わってきました。それぞれの家族で「理想の家」は違います。私たちは一つひとつの家族に合った「理想の家」づくりに携わらせていただきたいと思っています。