2016.11.02 公開
C値Q値UA値とは―「暖かい家」を数値でサクッと比較する方法
近年になって、「高気密高断熱」とうたうハウスメーカーや工務店が増えてきました。高気密高断熱住宅は、気密性、断熱性に優れた住宅で、夏は涼しく、冬は暖かいのが特徴です。また、部屋の空気を一定の温度に保つため、エネルギーロスが少ない省エネの家にすることができます。
しかし、「高気密高断熱」という言葉だけでは、「どのぐらい高気密高断熱なのか」が分からず、感覚的なものでしかありません。もし、気密性や断熱性を数値で表現できたら、いろんなハウスメーカーや工務店の住宅を比較・検討する際に役立ちます。
そこで、この記事では、気密・断熱性能を表す数値の読み方について解説します。詳しい知識がなくても、住宅性能をサクッと比較・検討することができるようになります。
高気密高断熱性能を測る数値
まず、気密性、断熱性の測る数値についてお話しましょう。
横文字や知らない言葉が出てくると、それだけで「難しいそう」と思ってしまいますよね。そこで、細かい話や難しい計算式は専門家にお任せして、ここでは、「どんな項目があって」「どのように読むか」だけ分かれば大丈夫です。
全てのポイントは、値が小さいほど性能が優れていることです。
C値(相当すき間面積)とは?
C値(相当すき間面積)は気密性能を表す値です。延べ床面積に対する「すき間面積」の割合を示す数値的に表したもので、床面積1m2当たりどれ位(何cm2)の隙間が有るかを表しています。値が小さいほど気密性能が優れています。
C値は、次の計算式で求めることができます。
C値 = 家全体のすき間の合計(cm2) ÷ 延べ床面積(m2)
Q値(熱損失係数)とは?
Q値(熱損失係数)は断熱性能を表す値です。外壁、床、天井、屋根、窓、ドア、換気などから、部屋の熱がどれだけ逃げるかを数値的に表したもので、住宅全体の断熱性能を知ることができます。値が小さいほど断熱性能が優れています。
Q値は、次の計算式で求めることができます。
Q値(熱損失係数) = 熱の逃げる量の合計 ÷ 延べ床面積
なお、Q値は、2013年10月に施行された改正省エネルギー基準によって、断熱基準がUA値(外皮平均貫流率)に変わりました。UA値は各部位から逃げる熱損失を合計し、外皮面積(外壁、床、天井、屋根、窓、ドアなど)で割って求めます。UA値もQ値と同様、値が小さいほど断熱性能が優れています。
家の性能を比較するには?
夏は涼しく、冬は暖かい快適性を決める最も基本となる性能が気密性や断熱性です。家の断熱性能を比較するためには、各ハウスメーカーのC値、Q値、UA値を並べて比較すれば、数値上は、最も低いハウスメーカーが、最も気密性、断熱性が優れていることになります。
一方、C値、Q値、UA値を積極的に出しているハウスメーカーもあれば、出していないハウスメーカーもあります。これらの値は家それぞれによって異なるため、一律に出せないという事情もあるのかもしれません。
「情報公開を積極的にしているか」を知るだけでも、各ハウスメーカーにおける高気密高断熱住宅に取り組む姿勢は、見えるのではないかと思います。
まとめ
家の気密性能、断熱性能を測る数値と読み方について見てきました。
言葉上で「高気密高断熱」といっても、感覚的にしか分かりませんが、数値化することで気密、断熱性能が比較できるようになります。また、細かな内容や計算方法を知らなくても、値が示す大枠を知り、どのように見るのかさえ分かれば、各ハウスメーカーの性能を比較することがかんたんにできます。
実際に比較してみました。ハウスメーカー29社の気密・断熱性能C値Q値UA値を比較してみたもあわせてご覧ください。
雪国妙高高原で70年余、家づくりに携わってきました。それぞれの家族で「理想の家」は違います。私たちは一つひとつの家族に合った「理想の家」づくりに携わらせていただきたいと思っています。
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