2016.10.18 公開
ゼロエネルギーハウス(ZEH)とは?―省エネ住宅の要件とメリット
近年、超大型台風、異常高温、干ばつ、洪水など、甚大な自然災害が世界各地で起こっています。このような異常気象の原因の一つが、地球温暖化だと言われています。
地球温暖化の主な原因は二酸化酸素の増加です。代表的な原因の一つに、「家庭におけるエネルギー消費の増加」があります。
そのため、今後建設する住宅には、省エネルギー化が求められるようになりました(参考:省エネ住宅とは―あなたの家は大丈夫?2020年から必須の新築基準)。
また、東日本大震災以降、電力供給の不安やエネルギー価格の不安定化が起きたことも、省エネ住宅が求められるようになった一因です。
もし、今後家を建てられる予定がありましたら、ハウスメーカーや工務店と省エネ住宅について話をすることもあるかもしれません。施主としてもある程度。情報は知っていたほうがいいでしょう。
そこで、この記事では、ネットゼロエネルギーハウスとは何か、求められる要件は何か、要件に対応することで使える補助金などについて見ていきます。
ネットゼロエネルギーハウスとは?
ネットゼロエネルギーハウスを一言で説明すれば、「消費するエネルギー」と「創り出すエネルギー」の収支がゼロの住宅です。
「消費するエネルギー」とは、室内照明や家電など、家庭の中で使うエネルギーのことです。「創り出すエネルギー」とは、太陽光発電などによって創り出すエネルギーのことです。
つまり、年間に消費する正味(ネット)のエネルギーを概ねゼロ(創り出すエネルギーのほうが多い)とするのが、ネットゼロエネルギーハウスです。Net zero energy houseの頭文字をとって、ZEH(ゼッチ)とも呼ばれています。
ネットゼロエネルギーハウスに求められる要件
ネットゼロエネルギーハウスを実現するためには、次のような要件が必要になります。
高気密高断熱でエネルギーを消費しないこと
空調は大きなエネルギーを消費する1つです。夏は涼しく冬はあたたかい、かつ、エネルギー消費を抑えるためには、一度あたためた(または、冷やした)空気を逃さないことが必要です。
空気を逃さないためには、高気密高断熱の住宅にすることが求められます。
高性能設備でエネルギーを上手に使うこと
エネルギー消費を抑えるためには、使うエネルギー自体を少なくする必要もあります。
高性能設備には、LEDなどの高効率照明や、エコウィンハイブリッドなどの省エネ冷暖房、エコキュートなどの高効率給湯器などがあります。
エネルギーを創れること
年間のエネルギー消費量を正味ゼロにするためには、エネルギーを創り出せる必要があります。太陽光発電設備は必須といっていいでしょう。
計測できること
年間のエネルギー消費量を正味ゼロにするためには、消費エネルギーと創ったエネルギーの量が確認できる必要があります。
近年では、HEMS(Home Energy Management System:ホームエナジーマネジメントシステム)など、エネルギー使用量をモニター画面で確認したり、自動制御したりできる機器が開発されています。平成24年「グリーン政策大綱」(内閣官房 国家戦略室)によれば、政府では2030年までにすべての住まいにHEMSの設置を目指しています。
ネットゼロエネルギーハウスにすると得られる補助金
経済産業省では、「2020年までにハウスメーカー等の建築する注文戸建住宅の過半数でZEHを実現すること」を目標とし、普及に向けて取り組んでいます。
そこで、ZEH支援事業として、平成28年度は最大150万円が交付される「ネット・ゼロ・エネルギーハウス支援事業」が行われています。
なお、【知っ得!2016年度版】新築で使える省エネ住宅補助金まとめでも触れているように、補助金を受給するためには、自社が受注する住宅のうちZEHが占める割合を2020年までに50%以上とする目標を宣言・公表したハウスメーカー、工務店、建築設計事務所であることが要件となっています。全国のZEHビルダーは、ZEHビルダー一覧(一般社団法人環境共創イニシアチブホームページ)で確認できます。
なお、丸山工務店のZEH普及目標は次のように公開しています。
ネットゼロエネルギーハウスの実例
長野県・飯綱町のS様の家はネットゼロエネルギーハウスに採択された物件です。
高気密高断熱の性能はFPの家で実現しました。雪が多く降る豪雪地帯のため、屋根には独自の技術で太陽光発電設備を設置しました。
売電実績も良好です。売電実績で検証!雪国新潟・長野の太陽光発電は元が取れる?では、平成27年1年間の発電量・売電価格の実績データがご確認いただけます。
まとめ
ネットゼロエネルギーハウスとは何かについて見てきました。
地球温暖化の影響で、今後建てられる家は省エネ住宅の要件が求められるようになります。政府が推進しているため、この流れはますます推し進められていくことでしょう。
ハウスメーカーや工務店と話をする場合、省エネ住宅の話が出てくるかもしれません。施主としてもある程度。情報を知っていたほうがいいでしょう。
雪国妙高高原で70年余、家づくりに携わってきました。それぞれの家族で「理想の家」は違います。私たちは一つひとつの家族に合った「理想の家」づくりに携わらせていただきたいと思っています。
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