2016.01.28 公開
本当に大丈夫?!雪が3m以上積もる豪雪地の太陽光発電
雪国にお住まいで、太陽光発電にご興味をお持ちの方にとって、「屋根に雪が積もるのに、太陽光発電は可能なのか」は、もっとも大きな関心ごとではないでしょうか。
関心ごとは、大きく分けると2つあると思います。
- 太陽光パネルが雪の重さに耐えられるか?
- 太陽光パネルに雪が積もったとき発電できるか?
結論から申し上げますと、雪国でも太陽光発電は可能です。私ども丸山工務店は、多い年で3メートル以上の雪が積もる豪雪地、妙高高原にあります。一般的な施工方法では、太陽光パネルメーカーの保証対象にならない非常に厳しい環境です。
しかし、雪国で長年、家づくりをしてきたからこそ分かる独自の施工技術で、雪の問題を解決しています。
そこで、この記事では、雪国、しかも、豪雪地における太陽光発電について、みなさまの疑問にお答えします。
太陽光パネルが雪の重さに耐えきれるか?
豪雪地でも独自の施工技術を用いることによって、太陽光パネルは雪の重さをクリアすることができます。一般的な施工方法と、丸山工務店の施工方法と比較して説明します。
一般的な施工方法
一般的な施工方法は、屋根の上に金具を取り付け、その上に太陽光パネルを載せます。
このように、屋根と太陽光パネルの間には、取付金具分の隙間があります。
雪の量が少なく、年に数回しか降らない地域ではこの工法でもいいのかもしれませんが、豪雪地でこの工法を用いると、太陽光パネルを覆いながら金具の中にまで雪が入り込み、一体化した状態で雪が凍ってしまいます。この状態では、雪が降るとさらに積もってしまうため、太陽光パネルに大きな雪の重みがかかります。その結果、太陽光パネルが破損してしまう恐れがあります。
一般的な太陽光パネルメーカーの補償は積雪1mまでです。1m以上雪が積もる地域では、パネルが雪の重みに耐えきれません。そのため、豪雪地では、一般的な施工方法では施工できません。
また、雪が1m以上積もると、重みで家自体に大きな負担をかけてしまう恐れもあります。
丸山工務店の施工方法
丸山工務店の施工方法は、屋根の中に太陽光パネルを埋め込み、高さをそろえる施工方法を採用しています。これにより、雪が金具を巻き込み、凍ることはありません。
また、豪雪地では、雪が降っても屋根の雪下ろしをしなくて済むように、屋根に勾配を持たせて自然落下させる形式をとっています。屋根と太陽光パネルの高さをそろえ、フラットにすることにより、積もった雪は自然に落下し、太陽光パネルに不要な雪の荷重がかかりません。そのため、豪雪地でも問題なく太陽光パネルを設置することができます。
この施工方法によって、積雪2mの保証をクリアしています(実際には、雪は自然落下するため2mの雪が積もることはありません。保険会社の保証の話です)。
太陽光パネルに雪が積もったとき発電できるか?
独自の施工技術を用いることによって、豪雪地でも問題なく発電できます。
一般的な施工方法
「太陽光パネルが雪の重量に耐えきれるか?」で説明したとおり、一般的な施工方法では、雪が太陽光パネルを覆ってしまうため、パネル本来の性能を発揮できません。
丸山工務店の施工方法
丸山工務店の施工方法は、屋根に雪が積もっても自然に落下するため、問題なく発電できます。
「雪の自然落下」が雪国の太陽光発電のポイント
ここまでのお話でお分かりいただけたように、一般的な施工方法と丸山工務店の施工方法の違いを一言でまとめると、雪が自然に落下する屋根の構造にあります。
太陽光パネルが電気を発電する際、パネルはわずかに熱を発します。パネルの上に雪が積もっても、雪の間から入ってきたわずか光でもパネルは発電しようとするため熱が発生し、その熱でパネル上の雪が解けて、パネルと雪の間に水の層ができます。その結果、パネル上の雪が自然落下しやすくなります。
さらに、一般的な施工方法はパネルとパネルの間に隙間がありますが……
丸山工務店の施工方法は、雪が自然落下しやすいように、太陽光パネル間の隙間を限りなく少なくして、引っ掛かりがなく、フラットになるように工夫しています。雪が滑り落ちる際の抵抗が少なくなるため、自然落下しやすくなります。
細かな配慮ですが、これは豪雪地で長年、家づくりをしてきたからこそ気づける点です。
雪国の太陽光パネル設置の苦労話
これまで、豪雪地では太陽光パネルの設置は難しいと考えられていました。
「雪国 太陽光発電」で検索すると、新潟や長野など、雪国でも太陽光発電が設置できると書かれているサイトが数多くありますが、それらは中心市街地など、雪がそれほど多く降らない地域での話で、3メートルも雪が積もるところでは不可能でした。
それでも、豪雪地でも太陽光発電を実現したいと、パネルメーカーと幾度となくやりとりしましたが、「積雪1m以上は保証できない」の一点張り。逆に、「雪が積もっても大丈夫です」というメーカーにその根拠を求めると、明確なデーターを出してくれないこともありました。保証できないものを、お客様の大切な家に使うわけにはいきません。
「やはり、豪雪地での太陽光発電は無理なのか……」とあきらめかけていたちょうどそのとき、転機が訪れました。豪雪地の太陽光発電の実現に協力してくれる屋根メーカーと出会いました。雪国の実情をやりとりしながら設計を重ね、屋根の形状を工夫することでこの工法にたどり着くことができました。
新築のお客様への施工も終わり、引き渡し直前の試運転の日。それはちょうど、前の晩に雪が深々と積もった翌朝でした。屋根の状態をみようと現場に行ったところ、屋根の雪が落ちていません。「ま、まさか!こんなはずじゃ……」正直、背筋が凍りました。
家に入って、点検をしようとブレーカーを見たところ、ブレーカーが切られていました。大工が前日、ブレーカーを切って帰ったといいます。原因はここにありました。
すでにお話したように、ブレーカーが落ちていると太陽光パネルが発電しないため、パネル上の雪が解けずに水の層ができません。そのため、雪が自然落下しなかったのです。
ブレーカーを上げ、しばらく様子を見ていると……屋根の雪が勢いよく落ちました。「やった!上手くいった!」――不安が安堵と達成感に変わった瞬間でした。
それから一年以上が経ちましたが、何のトラブルもなく稼働しています。発電量も設計値以上の発電ができており(参考:売電実績で検証!雪国新潟・長野の太陽光発電は元が取れる?)、お客様にも大変喜ばれています。豪雪地の太陽光発電は他に類を見ないばかりか、通常のトタン屋根よりも自然落下しやすい構造です。豪雪地の新しい屋根の形として、現在は自信を持って仕事をしています。
まとめ
雪国の太陽光発電についてまとめました。
雪国の太陽光発電は、雪の特性を知らずに施工すると、本来の発電性能が出ないばかりか、パネルやフレームを壊してしまう恐れがあります。
もし、雪国で、特に豪雪地で太陽光パネルの設置を検討されていらっしゃいましたら、「雪の特性」をよく知っているメーカーや工務店に相談されるといいかもしれません。
雪国妙高高原で70年余、家づくりに携わってきました。それぞれの家族で「理想の家」は違います。私たちは一つひとつの家族に合った「理想の家」づくりに携わらせていただきたいと思っています。
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